さまざまな機器があるノーリフティングケア

ノーリフティングケアとは、2008年から日本国内で進められている「人力による抱え上げない介護」を目的とした介護手段です。発祥はオーストラリアで、看護で起こる腰痛の予防対策により普及し始めました。腰痛での離職が多い介護職の、抱え上げ・持ち上げなどの負担を補うことに期待される介護です。ノーリフティングケアには、さまざまな機器が使用されています。

例を挙げてみると、ベットの上下移動をする時に使用するスライディングシート、ベットから車椅子の移乗が楽にできるスライディングボードなどがあります。通常は介護職が抱き上げて移乗させていましたが、スライディングボードは体重がボードにかかるので簡単に移乗ができます。その他には高齢者の立ち上がりを補助できるスタンディングリフトもあります。トイレ介助等も、人力で抱えることなく安全に移動できるのです。このような機器を使えば、介護職の体にかかっていた負担が緩和され、厚生労働省からの介護による「人力の抱き上げは原則行わない」という指針にも従えるようになります。

ただし、訪問介護では持込みが難しく、資金面などから導入が難しいという問題点もあるようです。導入し、正しい操作方法を習得できれば、高齢者により安心・安全なサービスを提供できます。ノーリフティングケアに関しては厚生労働省から、ノーリフティングケアに取り組む事業所を2021年4月の介護報酬改定で評価する方針が検討されています。決定になればノーリフティングケアを取り入れる事業所が増え、職場環境を改善し介護職を応援することにも繋がるでしょう。